At Home works

その11 5ヶ月

11月の末のある日、
突然調子が悪くなった。

妊婦である、というのは
中の人の命を預かっている、ということだ。
もし不用意に強い薬をのんで、それが影響したら。
そう思うと病院に行くのも怖かった。

あまり食べられず、歩けず、
どんどん衰弱していきながらも
自分の体がどうなっているのか
感覚だけは鋭くなっていく。

みっこさんが毎日身体をみてくれて、
その度に体がギシギシ動くような感覚があった。
ゆっくりと一つ一つ原因を外していくような作業。
汗をたくさんかいて水分を取りまくり、
身体の中の水分が総とっかえされるような日々。

そうか、長年溜まった老廃物や添加物、
最近の原発の影響など
目には見えない汚れたものを
今、赤ちゃんのために全て入れ替えているのかも、と感じる。

息ができないような時はとまそんが背中や腰に手を当ててくれると
途端に息ができるようになった。

そのうち身体が整うと、
体調もよくなるはずなのになかなか回復しない。
調べて行くうちに
これは腎盂腎炎という細菌が腎臓にはいってしまう病気ではないかと思い、
これ以上自力では回復が見込めないと判断し
病院に行った。

そのまま入院となるも、
お医者さんには決して
もっと早く来てくれれば、とは言われなかった。
妊婦さんの気持ちを思えば病院に来たくないのは当然ですが、大変でしたね
という言い方にずいぶん救われた。

12月末に退院するまで、
自分の身体をみつめ続けた一ヶ月。


[ - 赤ちゃんがやってきた ]

登場人物
「私」

鎌倉在住の陶芸作家
初めての妊娠出産育児に新しい発見と面白みを見出す
家族とアシスタントさんに支えられながら育児と作陶を両立中 夫、義母、娘と四人暮らし


花紅(かこ)さん

2014年4月林家に誕生した女の子
心身共に健やかな人


ユパ様

腹の中にいたときの花紅さんの呼名


 
とまそん

夫 ミュージシャン
SheHerHerHersのベーシスト
鎌倉では「小川コータ&とまそん」としても活動中
嫁の仕事の影の立役者
哲学者のような深い洞察力で子育てを楽しむ


みっこさん

同居するお義母さん 野口整体指導者として毎日忙しく飛び回るが家ではキュートなお母さん兼、ばあば
「私」の憧れの女性


アシスタントさん

「私」のアトリエAt Home Worksに来てくれるアシスタントさん達
皆が積極的に子育てにも協力
アトリエではミルク、オムツ、寝かしつけ、作陶となんでもこなす。
チームAt Home Worksとして見事な連携プレーをみせる

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