At Home works

その19 10ヶ月

ユパさまは幸せだなあと思う。
会う人みなに、

わあ!大きくなったね!
ユパさまー

と話しかけて貰えるから。

じっと聴いていたり、
ごりんごりん反応したり、
お腹の中では喜怒哀楽が激しい。

臨月に入ると
もういかにも臨戦態勢に入った感があり、
いつにしようか思案中という風情になってきた。
胎動もますます激しく、
ときどきバチン!とかブチン!とか
そんな音がしてハラハラする。
肋骨に足をかけ、
飛びたす練習かと思うような日もある。
そんな時は
ちょっと痛いので落ち着いて下さい、
と懇願する。
何もしていなくても内臓が圧迫されて
大袈裟なため息がでてしまう。
夜も寝苦しくなってきて、
寝るのだけは得意中の得意の私でも熟睡できない。
圧迫感がすごいので、お腹の下に枕を入れて
横向きに寝るしかなく
とまそんが背中や腰をマッサージしてくれると
呼吸が楽になってよく眠れる。

今日から三日間出張だからね、
三日間いないからね、と
とまそんが朝から説得していて
お腹の中ではお臍から飛び出して
抱きつこうとしてるんじゃないかと思うほどの動きをしていて二人で笑う。

まるでロシアンルーレットみたいだなと思う。
いつどんなときに当たるのか、
どんな風にその日を迎えるのか。
臨月の妊婦さんは日々どんな気持ちで過ごしているのだろうか。

ユパさまと会えるのが楽しみなような、分離するのがさみしいような

そんな妊娠10ヶ月に入ったばかりの頃


[ - 赤ちゃんがやってきた ]

登場人物
「私」

鎌倉在住の陶芸作家
初めての妊娠出産育児に新しい発見と面白みを見出す
家族とアシスタントさんに支えられながら育児と作陶を両立中 夫、義母、娘と四人暮らし


花紅(かこ)さん

2014年4月林家に誕生した女の子
心身共に健やかな人


ユパ様

腹の中にいたときの花紅さんの呼名


 
とまそん

夫 ミュージシャン
SheHerHerHersのベーシスト
鎌倉では「小川コータ&とまそん」としても活動中
嫁の仕事の影の立役者
哲学者のような深い洞察力で子育てを楽しむ


みっこさん

同居するお義母さん 野口整体指導者として毎日忙しく飛び回るが家ではキュートなお母さん兼、ばあば
「私」の憧れの女性


アシスタントさん

「私」のアトリエAt Home Worksに来てくれるアシスタントさん達
皆が積極的に子育てにも協力
アトリエではミルク、オムツ、寝かしつけ、作陶となんでもこなす。
チームAt Home Worksとして見事な連携プレーをみせる

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