At Home works

その29 0歳0ヶ月

陣痛のクライマックスは
赤ちゃんが産道を通る時だ。

普通に考えてどうにも無理がある。
でも赤ちゃんも必死に、
骨格を一回変えてでも出てこようとしている。

その辺りでの陣痛は一分おき一分間の激痛、のように頻繁で、
その一瞬のヌケの時間にいきまずに力を抜かないと赤ちゃんが苦しいという。
なんとか深呼吸をして
ユパさまが楽なように楽なようにと言い聞かせる。
そして痛みの波が来たらそれに乗って
ユパさまに会える、会える、と必死にいきむ。
そうしながら手を伸ばしてユパさまの頭を触ってみた。
指先に髪の毛の感触

もうすぐ会えるんだ

少しずつ、負担をかけないように、
こちらを気遣いながら
長い時間をかけて
ユパさまは生まれた。

ほら!!彩ちゃん!
ユパさま生まれるよ!!!
とみっこさんに言われて必死に目を開けると、
髪の毛もたっぷりの
大きな赤ちゃんが出てきたのが見えた。

やっと会えたね
よくがんばったね
生まれてきてくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう

へその緒は、
みっこさんに切ってもらった。
すぐに胸に抱かせてもらうと、
しっとりと、甘く、重い。

このタイミングでとまそんが電話をくれた。

おつかれさま、よくがんばったね

声を聴いた途端に急に実感が湧いて涙が溢れる。

そして映像モードに切り替え
とまそんがユパ、ユパ、と呼んだ
途端にユパさまが目を開けて
声の源を必死に目で追った。

それは、ずっと二人で話しかけてきて本当によかったと
胸がいっぱいになる出来事だった。


[ - 赤ちゃんがやってきた ]

登場人物
「私」

鎌倉在住の陶芸作家
初めての妊娠出産育児に新しい発見と面白みを見出す
家族とアシスタントさんに支えられながら育児と作陶を両立中 夫、義母、娘と四人暮らし


花紅(かこ)さん

2014年4月林家に誕生した女の子
心身共に健やかな人


ユパ様

腹の中にいたときの花紅さんの呼名


 
とまそん

夫 ミュージシャン
SheHerHerHersのベーシスト
鎌倉では「小川コータ&とまそん」としても活動中
嫁の仕事の影の立役者
哲学者のような深い洞察力で子育てを楽しむ


みっこさん

同居するお義母さん 野口整体指導者として毎日忙しく飛び回るが家ではキュートなお母さん兼、ばあば
「私」の憧れの女性


アシスタントさん

「私」のアトリエAt Home Worksに来てくれるアシスタントさん達
皆が積極的に子育てにも協力
アトリエではミルク、オムツ、寝かしつけ、作陶となんでもこなす。
チームAt Home Worksとして見事な連携プレーをみせる

バックナンバー
PAGE TOP