At Home works

トリックオアトリート

私が子供のころ、ここまで盛んなイベントではなかったはずのハロウィン。
都内などでは大人たちがやや賑やかにしすぎるようですが、子供たちが様々な仮装をして「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ!」と言う姿は、やはり可愛いなと思います。

とは言うものの、突然「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ」と面と向かって言われると、「ええ!」と焦ってしまうのも正直なところ。
お菓子を用意していればいいけれど、用意してなかったら・・・。なんだか申し訳ないし、彼らをがっかりさせてしまうだろうし、こっちはいたずらされるかもしれないし。

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(ラフランス。切ったら『はらぺこあおむし』を思い出しました。)

アトリエの周りにもたくさんの子供たちが暮らしており、学校から帰ってきた彼らの元気な声はよく聞いています。窯小屋の屋根は登れるようになっているので、ときどき近所の子が友達に「ここ登れんだぜ!」と興奮気味に話していたりします。
数年前のハロウィンのころ、あたりを練り歩いていた近所の子供たち。その楽しそうな声につられて、彩さんは部屋の中からその様子を見ていたそう。そのとき、付き添いの保護者の方々と目が合い、瞬間「いたー!」「いけー!」と号令がかかり、小さなアリスや小さな魔法使いたちがこちらへ笑顔でやってきたのだそうです。
「みつかったー!」と思ってちょっと焦ったけど、大人も子供も楽しそうで、そんなイベントをここの人なら楽しんでくれるだろうと直感的に思ってくれたあの感じが嬉しかった、と彩さんが後日私に話してくれました。

その話を思い出していた今日、時期的にもそろそろですねと二人で話していたら、こちらもご近所のお茶の先生が、お茶会のお知らせ(今度の個展期間中にも開催されます)を持ってきてくださり、帰り際に「今日ハロウィンだって!気をつけて!」と声をかけてくださいました。
「今日か!」「気をつけて!って面白いですね」と笑っていたのも束の間、普段なら色々あるのにこういうときに限ってアトリエにお菓子が何もなくて焦る私たち。渡せるものは土か松ぼっくりぐらい。彼らをがっかりさせることもいたずらされることも避けたかったので、小さなマリオや小さなアラジンが通り過ぎる瞬間、彩さんと私はそっと気配を消し、それでも可愛いからちょっと見たくなって、窓からチラッと見たりしていたのでした。
ハッピーハロウィン。トリックオアトリート。

佐々木


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