At Home works

赤ちゃんがやってきた 記事一覧

赤ちゃんがやってきた その68 1歳2ヶ月 

赤ちゃんがやってきた

これはわたしのおくち、
これはわたしのおはな、

なんども練習して失敗もしてやっと作れるようになった白玉団子は

1.2.3
三匹の犬

これはわたしのおとうと、
これはわたしのおかあさん、

あなたは気にいると親の仇のように作るから、と主人に笑われたものです

4.5.6
6匹の豚

花紅に渡された本を次々に読む、
とまそんの声が聞こえる。
絵本の間に料理本がまざってるから
人間ジュークボックスはおかしなことになっている。

私が子供の頃
三人の子供たちに繰り返し繰り返し繰り返し絵本を読んでいた母はそのうちに、
「ぐりとぐら」や、
「いやいやえん」、なんかを
テープに自分の声でふきこんでくれてた。
私たち兄妹はみな母の抑揚で
物語を憶えている。

そのなかにひどくガサガサな声で
父が、
「シンドバッドの冒険」
とタイトルを言ってから読み始めるテープがあって、
あまりのひどさに後ろで
「パパ、うっうんってやったら」
とか母が声を掛けたりしている。
ひどく聞きずらい声だけど、
そのテープも何度も繰り返し聴いた。

今ならわかる。
忙しかった父が、ゆっくり読み聞かせをできるのは
きっと風邪で会社を休んだ時だけだったんだ。

こうやって、育ててもらったんだなあ愛情をかけて、大切に。

とまそんが
壊れたジュークボックスみたいに
絵本を読んでる声を聴きながら、
出掛ける準備をする。

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その67 1歳1ヶ月 

小さくて、薄い、爪を切る。

子供が寝ている時に
やるべきことは沢山あって、
洗濯、御飯の準備、仕事の連絡、
片付け、そしてもちろんその隙に
自分が少しでも休むこと。

その中でも、
爪切りはようやく寝た子を起こしたくなくて中々やりたくないのだけれど、
ここでやらずにいると
その紙みたいに薄い刃で自分も引っ掻かれるし、本人も傷つくので
覚悟を決めるしかない。

ぎゅっと握りしめた小さな掌をそっと開いて爪を切る。
生まれた時にすでに長くて
何よりもまず爪切りが必要だった。
小さい人は成長が早くて
すぐに伸びてしまう。

そういえば何歳から
自分で爪を切ったのかなあ。
あと何年、薄くてこわいと思いながら切るのかなあ。

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その66 1歳1ヶ月 

花紅さんは一歳をすぎて、
内面も外見も急速に成長している。
表情が違う、意思表示もはっきりしてきた。
何を言っているか理解して、
それを反応として返せる。

食に対する情熱がありすぎて、
ご飯はなんでもパクパクたべる。
これで最後ね、ご馳走さま。
というとこの世の終わりのような顔をして泣くのだけれど今日は、

わー全部食べられたね、すごいね!
じゃあこれで最後の一口、
これを食べたらー?!

といってみたら
パチン!と両手を合わせてご馳走さまの合図を満面の笑顔でしてくれた。

きっと、私を喜ばせたいんだ。
私が笑うのがみたいんだ。

褒めると自分の喜びでやっていたことを、褒められたくてするようになるからあまり褒めない方がいい、という人がいる。
それどうかなーと子供が生まれる前に思ってたのだけど、
今日気付いた。

赤ちゃんはみんな私たちを喜ばせるために
生まれてきてくれたんだろう。
喜ぶ顔がみたいのだろう。

こんな風に素直にそれが表現できないだけで、本当は大人になっても
人はいつでも誰かの喜びでありたいのだと思う。

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その65 1歳0ヶ月 

2015年 4月15日
一歳の誕生日は
とまそんがケーキを焼いてくれた。
花紅さんも少し食べられるように
お砂糖は極力控えめで。

家族が集まって、
皆でご飯を食べて。
うちに来てくれたことを、
一年無事に育ってくれたことを、
心からありがたいと思う。

とまそんが

彩ちゃんみたいな育て方
なかなかできないと思うよ
本当に自慢のママです
ありがとう

と言ってくれて
唐突に涙がでてしまう。

とにかくなるべく一緒にいよう
抱きしめて大切だって伝えよう
この小さなひとが
寂しい、というスカスカした感情を
心に記憶しないように
愛されてるって
一番根っこで確信できるように

三つ子の魂百までというしね
改めて二人で話し合った。

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その64 0歳11ヶ月 

5/1〜6アトリエでの個展を控え、
最近は作陶も忙しくなってきた。
花紅さんと一緒に仕事に行ける喜びはもちろんあるのだけれど、
仕事モードに完全に切り替えることができないのも確か。

とまそんは自分が一日預かる時
どこかがパパモードになって
仕事に集中しきれないことを感じて、
ということはアトリエに連れて行く私も同じだろうと
可能な限り花紅さんを一日中預かる日を設けて
作家モードになる時間をつくってくれる。

母としての自分のことも、
作家としての自分のことも、
妻としての自分のことも
尊重してくれるパートナーに感謝!

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その63 0歳10ヶ月 

静かに一人遊びしてるなと思って
ふとみると、
プラゴミをひっくり返してなかを検分している。

あー!!と思うけれど
とにかく真剣な目で
一つ一つ確認しては放りなげたり
裏返したりしてる姿をみて
そりゃあ絶対に楽しいに決まってるよなあ と思い直す。
まあ別に危険なものもなし、
と自分たちのご飯を食べながら
横目で眺めると、それはもう真剣な目で
カシャカシャ
ツルツル
宝の山を開拓し続けている。

赤ちゃんは冒険家だったり
研究者だったり
ワクワクドキドキして毎日を過ごしている。

この好奇心を
こっちのイライラで
怒って潰えてしまわぬように
しまわぬように

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その62 0歳10ヶ月 

花紅10ヶ月

ますます表情が豊かになり、
ブーイングで不満を伝えたり
きゃっきゃと喜んだり
拗ねて目を合わせなかったり
言葉はなくとも雄弁に伝わる。
離乳食は一日三回。
最近ぐっと食べる量も増えた
お腹が空くだろう頃に泣きはじめたら、
私は急いでごはんを用意しなくちゃと感じてしまう。

でもとまそんは
何よりもまず花紅さんを抱きしめる。
するとすっと落ち着く。
子供が泣くときは
とにかく抱きしめてほしいんだ。
当たり前のようで
とっさに気づけないことを
パートナーがいつも教えてくれる。
大好きだ大切だと抱きしめて伝えよう。

それは大人も赤ちゃんも
関係ないのだと思う。

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番外編 チームAtHomeWorks 

At Home Worksのアシスタントさんたちと

周りから、こんなに早く仕事復帰してすごいね、
と言って頂くこともあるけれど、
それは産休中も待っていてくれたアシスタントさんがいてくれたから実現したこと。

また、アトリエで
子供と一緒にいながら仕事をできるという幸せも、
みなさんがいるからこそ。

2015年には
プレゼントのお箱、オリジナル冊子、Web Siteのリニューアル
など念願だったいろんなことも含め
At Home Worksを本格再始動することができました。
新宿伊勢丹でのグループ展
アトリエ個展と
展示会も沢山ある年に。

それも皆、チームAtHomeWorksの皆さんのお陰なのです
感謝

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その61 0歳9ヶ月 

初めて親になると、
知らないことばかり、
手探りなことばかりで、
情報交換したくなるもの。

知らず知らず、
同じ位の子供をもつ新米ママが交流を持ち始める。

公園デビュー、みたいな
勇気がいる感じじゃなくて
もともと知り合いどおしで
尚且つ赤ちゃんという共通項としてのつながり。

一ヶ月違うだけで
全く成長が違うしましてや
個人差が半端ないから
お風呂や寝る時間、
肌荒れ、働くということ、離乳食、
共通の話題は山ほどある。

10人ママ+10人の赤ちゃん
自己紹介が泣き声で遮られたりしながらわいのわいの。

一人のママが提案してくれた
鬼っ子コスプレを皆で作る。
子供を寝かしつけながら、
または這う子供を目で追いながら。

子供は家族だけで育てるものじゃないって思うから
こういうのは嬉しいなあ。
ありがたいなあと思う。

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その60 0歳8ヶ月 

最近は
抑揚をつけてウゴニョゴニョと
お話する。

口に入れる直前に落ちたごはんに
ウケて笑ったりする

目が合うと
いつもニコーっと嬉しそうに笑う

口をはっきりと
モグモグさせて、
美味しいと
ん!と反応して何か感想をいいながら食べる

あちらに行きたいと体ごと手を伸ばして訴える

生後7ヶ月と8ヶ月の差は
意外と大きい気がする

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登場人物
「私」

鎌倉在住の陶芸作家
初めての妊娠出産育児に新しい発見と面白みを見出す
家族とアシスタントさんに支えられながら育児と作陶を両立中 夫、義母、娘と四人暮らし


花紅(かこ)さん

2014年4月林家に誕生した女の子
心身共に健やかな人


ユパ様

腹の中にいたときの花紅さんの呼名


 
とまそん

夫 ミュージシャン
SheHerHerHersのベーシスト
鎌倉では「小川コータ&とまそん」としても活動中
嫁の仕事の影の立役者
哲学者のような深い洞察力で子育てを楽しむ


みっこさん

同居するお義母さん 野口整体指導者として毎日忙しく飛び回るが家ではキュートなお母さん兼、ばあば
「私」の憧れの女性


アシスタントさん

「私」のアトリエAt Home Worksに来てくれるアシスタントさん達
皆が積極的に子育てにも協力
アトリエではミルク、オムツ、寝かしつけ、作陶となんでもこなす。
チームAt Home Worksとして見事な連携プレーをみせる

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